文芸ファンミーティングにお越しいただきありがとうございました!
こんにちは、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?
先日は八重洲ブックセンターにて開催された文芸ファンミーティンのことをお気に掛けていただき、ありがとうございました!
大崎梢先生も安藤祐介先生もたいそう素敵な方でした。私が大崎先生の作品でおすすめしたのは「配達赤ずきん」、安藤先生は「営業零課接待班」です。もちろん大崎先生の「ドアを開けたら」、安藤先生の「不惑のスクラム」はじめ、他の作品もとてもおすすめです。読書の秋、ぜひお手元にどうぞ!
さて、イベント後のサイン会の折にお客様から「天の花」に登場する「風に鳴るハープ」についてのおたずねがありました。ありがとうございます!
その際にはあまりお話ができなかったので、今日はそれについてのお話を……
ケルティックハープはアイリッシュハープ、あるいはフォークハープとも呼ばれるものです。素朴な木製のハープで、弦数に応じてさまざまな会社の製品があります。
「天の花」で立海と耀子がもらった膝置きの小型ハープは、ストーニーエンド社のイヴというモデルを参考にしています。この会社のハープは響鳴箱の上部にハートのマークのくりぬきがあり、とても可愛いのです。
このハートの部分に、撫子模様のくりぬきがあるというイメージです。サイズ的にはイヴをもう少し縮めた感じ、と考えています。十歳ぐらいのお子さんがリュックのように背負えて、普及しやすい価格になるイメージです。
さて、龍治が愛用しているものはもう一回り大きく、弦数が多い床置きのハープです。こちらの形はダスティ・ストリングス社のハープの雰囲気をイメージしています。
耀子や立海のものと同様に、ミネオハープの試作品なので、やはり共鳴箱には撫子紋のくりぬきがあるというイメージです。
クラシックの世界のペダル・ハープの奏者はハーピスト、ケルティックハープの奏者はハーパーと呼ばれています。ハーパーという響きは、どこか凜々しく感じられます。男性の奏者も多く、無骨にも見える木製の楽器に、がっしりとした男らしい手はとても似合います。
龍治のイメージは別にあるのですが、演奏の姿は、Aryeh Frankfurter氏(アリエ フランクフルター氏)の雰囲気を参考にしています(フランフルターさんも美しい人です)。彼のCDと、ヴァイオリンの川井郁子さんのCDは「なでし子物語」執筆中によく聴いています。
吟遊詩人の持ち物だったということもあり、この楽器は屋外での演奏がよく合うのです。フランクフルター氏の演奏の様子はこちらです(お使いの楽器はおそらくダスティ・ストリング社のハープです)。
彼のCDのなかで、特に好きな曲は「The Northfjord Halling」という曲。この曲は耀子と立海、子ども時代の瀬里のイメージのもとになっています。
北欧のフィヨルドに関する曲らしいのですが、自分のなかでは子どもたちが美しい景色を目指し、山のなかを足取り軽く進んでいくイメージです。
ライブの映像がありました。CDだと、もう少しテンポがゆっくりです(Harp Songs of the Midnight Sunに収録)。
フランクフルター氏の奥様、Lisa Lynneさんもケルティックハープの奏者で、二人で演奏しているCDもあります(こちらもおすすめ!)。二台のハープの音は浮遊感があって、神秘的です。
Aryeh & Lisa Lynne harp duo - The Selkie - YouTube https://youtu.be/O0rFiMOvZIA
なでし子物語登場のハープ、このような感じになっております。
「常夏の光」もどうぞよろしくお願いします。
それではまた、おたよりします。
伊吹有喜
伊吹有喜『なでし子物語』(文庫版) #4
『なでし子物語』(文庫版) いじめに遭っている少女・耀子、居所のない思いを抱え過去の思い出の中にだけ生きている未亡人・照子、生い立ちゆえの重圧やいじめに苦しむ少年・立海。三人の出会いが、それぞれの人生を少しずつ動かし始 […]