年末と年始のご挨拶

 こんにちは、とてもご無沙汰しております。いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

 私は先月にひいた風邪をひどくこじらせてしまい、現在、静養中です。

 皆様も風邪にはお気をつけくださいね。

 近況を少し……。先日、四日市市の観光大使に就任のお話をいただきました。2016年からの活動となります。ささやかながら郷里のPRに貢献できればと思います。

 その四日市市のゆるキャラは「こにゅうどうくん」でして、お父さんはこのサイトに『ぼくのパパだよ☆』と紹介されている『大入道』です。

 このパパ入道こと『大入道』は江戸の昔より、お祭りになると町内に現れ、やるせないほどに首を伸ばして、舌をペローンと出すという御方。写真をご覧になっていただけますと、驚かれるかと思いますが、もう、これ以上ないほどに、ゆるみきっています……。果報は寝て待て、という言葉がありますが、これほどのリラックスぶりで待っていたら、果報、吉報が山ほど来るに違いありません。

 今回、その『こにゅうどう君』が年末のNKH紅白歌合戦で、関ジャニの「前向きスクリーム」という曲で全国のゆるキャラさんと出演するとのお話。今年は帰省できず、東京で見ることになりますがとても楽しみで、首を長くして待っています。

■さて、いよいよ年の瀬。私事ながらここ数ヶ月、連載「彼方の友へ」の参考に読み出した万葉集に、心惹かれています。資料によりますと、戦時中に日本の兵士たちが携えていた本のなかで一番多かったのが「万葉集」だったそうです。最初はそうしたいきさつを踏まえ、ちょっとした時間ができたときに、解説書を手引きに歌を鑑賞していたのですが、しだいに万葉集そのものや歌人たちにも関心を持つようになりました。

 二十巻に及ぶこの歌集の最後は、大伴家持の「新しき年の始の初春の 今日降る雪のいや重け吉事」という歌で締めくくられます。百年近い歳月の間に現れた、綺羅、星のごとくの歌人たちの作品には、人生のありとあらゆる哀歓が詠みこまれています。その最後を、降る雪のごとく佳きこと、吉事が重なりますようにと、新年を寿ぐ歌で飾られているのを知ったとき、とても明るい心地になりました。

 大友家持という歌人は武人であり、政治家でもあったので、この歌にはいろいろな思いがこもっていたのかもしれません。しかし千年以上たった今、歌から感じられるのは新しき年、未来へ託す願い、期待、喜びといった、みずみずしい思いです。

 歌とは自分のためだけではなく、誰かに伝えるために詠むものと聞いています。おそらく、いにしえの偉大な歌人は、大切な人のためにも祈りをこめて詠んだのでしょう。その言祝ぎの歌に寄せ、皆様の新しき年が吉事に満ちたものでありますよう、心よりお祈りしております。

『新しき年の始の初春の 今日降る雪のいや重け吉事』

 2016年が素晴らしいお年でありますように。

 本年もありがとうございました。

伊吹有喜