書き下ろしのスピンオフ短編を収録した「彼方の友へ」の文庫が発売中です

 こんにちは、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

 このたびはお知らせがあります。「彼方の友へ」が文庫になりました。

伊吹有喜『彼方の友へ』(文庫版)

伊吹有喜『彼方の友へ』(文庫版)  友よ、最上のものを。 戦中の東京、雑誌づくりに夢と情熱を抱いて──  老人施設でひとりまどろむ佐倉波津子に、小さな箱が手渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。 […]

 この「ハッちゃん」の物語は多くの方から熱いご支持をたまわり、「乙女の友大賞」もいただいた思い出深い作品です。

 感想のお手紙も素敵なイラストや、たいそう美しい便せんや切手でお送りいただき、「友」たちのご声援、心に深く沁みいっております。

 

 お返事を書きたかったのですが、なかなかできなくて……申し訳なく思っています。でも気分が沈むたびに、いただいたお手紙を眺めて励まされてきました。そして今も変わらず、私の力になっています。

 

 感謝の思いをこめて文庫化にあたり、番外編としてスピンオフ短編「ポラリス号の冒険」を書きました。

 そして番外編のページは、早川世詩男さんのイラストと、装丁の成見紀子さんによるデザインがとても愛らしいのです。「乙女の友」のモデル、「少女の友」の誌面を彷彿とさせるような雰囲気で、それを見るたびに、お心を寄せてくださった方々のことを思い出します。

 

「彼方の友へ」を愛してくださるすべての皆様に、つつしんで542ページの言葉を捧げます。

 単行本化、そして直木賞の候補に挙げていただいた際も、ここに書いたのですが、もう一度書かせてくださいませ。

 

 友よ! ありがとうございます。

 

 これからも書いていきますので、ぜひ、物語の旅をご一緒してください。

 

 

 そして、もうひとつお知らせが。「小説推理」に連載させていただいた「犬がいた日々」が、このたび「犬がいた季節」に改題して、16日(金)に刊行されました。現在、発売中です。

伊吹有喜『犬がいた季節』

伊吹有喜『犬がいた季節』  1988年夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めな […]

 次回は「犬がいた季節」についてお知らせいたしますね。

 友よ……お伝えするのが毎度毎度のスローペースでまことに申し訳ないです……。でも行動はゆっくりですが、その分深く、そして、いつも忘れず、皆様がお健やかでありますよう願っております。

 

 日ごとに冷えてきました。どうぞ暖かくして、お過ごしくださいね。

伊吹有喜