「カンパニー」を上梓しました。ただいま発売中です!
こんにちは。蒸したり冷えたりと気温が安定しませんが、お健やかにお過ごしでしょうか。私のほうはおかげさまで変わりなく過ごしております。
さて、小説新潮にて2015年四月号から2016年七月号まで、連載させていただいた「カンパニー」が、このたび単行本になりました。
伊吹有喜『カンパニー』
伊吹有喜『カンパニー』 妻子に逃げられた47歳総務課長。選手に電撃引退された女性トレーナー。製薬会社のリストラ候補二人に課された使命は、世界的プリンシパルの高野が踊る冠公演「白鳥の湖」を成功させること。しかし、高野の故 […]
主人公は、合併と創業百周年を機にグローバル化を推し進め、社名変更をした製薬会社に勤める二人。真面目で堅実なことだけが取り柄の四十七歳の男性と、一途で真っ直ぐな性格が災いして上層部に疎まれた二十八歳のスポーツトレーナーの女性です。
世代も職種も異なる二人ですが、共通しているのは大規模な社内改革のなかで余剰人員とみなされ、早期退職を求められているということ。
そんな二人はなかば嫌がらせのようにバレエ団に出向を命じられるのですが、そのバレエ・カンパニーも実は解散の危機に瀕しており、団員たちは不安をかかえています。
崖っぷちのバレエ団と主人公二人。起死回生の鍵を握るのは『世界の恋人』、『黒髪の貴公子』の異名を取る、世界的に有名なバレエダンサー、高野悠を主役に迎えた冠公演を成功させることなのですが、肝心のその高野が……。
『努力、情熱、仲間=レッスン、パッション、カンパニー。この三つがそろえば無敵』
青臭い、子どもだましの標語だとわかっていても、心のどこかで信じていたい──。
そんな大人たちの物語「カンパニー」。誠実に、懸命に生きてきたのに、はからずも報われない場所に追いやられた人々が結集し、全力で目の前に立ちはだかる壁を突き崩そうとする物語です。
はたしてその壁は崩れるのか。崩れたとして、その先にあるものは何か。
よかったらぜひ、お手にとって確かめてみてください。
伊吹有喜